こどものなかのこども



客観性を無視したマスゲーム的コラム vol.5

Category : Ikenishinji

今世紀に入って最大のインフルエンザがまもなくやってこようとしている、そうだ。世間では、やれWHOの非常事態宣言、やれタミフルの在庫状況、と不安を煽らんばかりに騒ぎ立てているが、実際のところ、鳥から人に感染したインフルエンザの猛威とはどれほどのものなのか。ポンピーの軟弱な体でそのウィルスに打ち勝つことはできるのか。正直なところ、今ポンピーは日々女社会の渦中にいて非常に肩身が狭い状態である。そんなストレス状況下で生活を送っているものだから、もちろん免疫力は低下しまくりで、決して自慢できることではないが、普通のインフルエンザでも生き残る自信がない。「アイム、サバイバー!!」なんて冗談でも言えない。

ところで、インフルエンザで思い出したが、フィッシュマンズという音楽グループを知ってるだろうか。知らない人は知らないし、知ってる人は知っているという種類のバンドだと思うが、フィッシュマンズの佐藤伸治くんは若くしてインフルエンザをこじらせて天国に行ってしまったのだ。とっても良い奴だったのに、と皆が口を揃えるくらい亡くなってからも絶大な支持を得ている人物である。そのフィッシュマンズを初めて聴いたのはポンピーが大学1回生のときで、「空中キャンプ」というアルバムだった。聴いているだけでサイケデリックな気分になるサウンドは居心地が良いのか悪いのか正直分からなかったが、その感じがたまらなく好きだった。だけどフィッシュマンズを教えてくれた友人にそのことを言うと、彼は「もうフィッシュマンズのボーカルはいないよ」とポンピーに告げた。その事実はなんとなくショックだった。ポンピーはそれから熱心にはフィッシュマンズを聴かなくなったし、何かしら死んでいる人間の歌を聴くことに抵抗を持つようになった。だから尾崎豊もビートルズもドアーズも今だにあまりきちんと聴いていない。

そんなこんなでインフルエンザがマジで迫ってきている。抵抗力の弱い老人と子供は手洗いうがいを徹底するべきだ。だけど実際問題、世界中で大流行するというインフルエンザに自分がちっとも感染しなかったら少しばかり物足りない気がする。ほとんどの人間が感染しているのに自分だけ感染しないなんて置いてけぼりをくらった気分である。インフルエンザを乗り越えたあとに、「あれはマジきつかった」と誰にも言えないのは、銭湯上がりに腰に手を当てて瓶のコーヒー牛乳を一気飲みしないで家路に着くくらい寒いことである。だから感染しないくらいなら、逆に日本人感染者第1号になったほうがマシである。そうすれば半世紀後に孫に自慢だってできるだろう。「おじいちゃんは2005年の冬に大流行したインフルエンザに日本人で誰よりも早く感染したんだよ。感染経路はペ・ヨンジュン、チャン・ドンゴン、おじいちゃんの順さ」と。そしたら孫は言うだろう。「ペ・ヨンジュンって誰だい?」さすればポンピーはこう答えるだろう。「マフラーが似合う微笑みの貴公子さ」

そう考えると、インフルエンザなんてちっとも怖くない。さあ、来やがれ!チャン・ドンゴン!!


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